『6月の花言葉』
伸びっぱなしの髭を撫でて
くたびれたジャケットをいつも羽織って
気だるそうに左手で煙草を吸って吐いて
そんなあなたにほんと夢中だった
顔に似合わず花が好きで
色んなことを知っていた
あなたといるといつもより
狡く賢くなれた気がした
6月の花言葉
あなたは沢山教えてくれた
6月の雨音に
紛れる様にそっと消えた
あなたが居なくなったあの日から
そのままになった灰皿と吸い殻
湿った空気と混ざって目に染みて
滴るまぶたが綺麗だと思った
あなたに出会っていなければ
毎朝見かける水色の紫陽花
意味があるなど知らず
通り過ぎていただろう
溢れ出す言葉の海で
探しているのサヨナラの代わり
忘れたくなんてないよ
忘れないでずっと
あなたの中で私も生きさせて欲しくて
6月の花言葉
あなたは沢山教えてくれた
6月の雨音に
紛れる様にそっと消えた