優しさの定義

  • はてなブックマーク

「優しい人は損をする」

なんの当たり障りも無い、よく耳にする言葉だ。

優しい人は他人に甘いから、騙されたり、利用されたりして、結果的に悲しい思いをさせられるということなのだろう。

先日友人も、先輩の仕事を押し付けられ、一生懸命こなしたのにも関わらず先輩の手柄にされたそうで、

「結局優しい人が損をする世の中だよなぁ」

と嘆いていた。

 

しかし本当に、優しい人は損をしているのだろうか?友人の言葉に何か突っかかりを感じた私は「優しさ」について考えてみる事にした。

 

まず「優しい人は損をする」と考えている人たちにとって、「優しい人」とはどんな人物なのだろうか。

そもそも、彼らが定義している優しさが本来の優しさの定義とズレてしまっていることから、「優しい人=損をする」という発想を生んでいる可能性だってある。

では本当の意味での優しさとはなんだろうか。辞書にはこのように示されている。

「他人に対して思いやりがあり、情が細やかである」(『大辞林』引用)

また「優」という字は、一説では「人を憂える」という意味からきていると言われている。「憂える」という言葉よりも類義語の「案じる」という言葉の方がわかりやすいだろうか。今度は「憂える」という言葉を辞書で引くと

「よくないことになるのではないかと心配する。また、嘆き悲しむ」(『大辞泉』引用)

とある。

以上のことから「優しさ」とは、「他人の身を心配し、思いやりがあること」だということが分かる。

優しい人というのは、お人好しであったり、押しに弱かったりする人物のことではない。

 

可哀想ではあるが、先輩の仕事を引き受けた友人も優しい人とは言えないだろう。頼みが断れなかっただけである。

では本当の意味での優しい人は損をしないのだろうか?

そもそも優しい人が、他人に対して何か見返りを求めたり、仮にお返しが無かったとして他人に何かしてあげたことを損だと思うのだろうか?

そう考えると、尚更「優しい人は損をする」という言葉に違和感を持つのである……。

 

 

  • はてなブックマーク